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かばん関西歌会

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2009年 03月 05日

2月歌会報告

〈かばん関西二月歌会 歌会記〉

[参加者]天昵聰、雨宮司、有田里絵、白辺いづみ、月下燕(購読)、蔦きうい(玲瓏 選歌のみ)、福田貢一(北摂短歌の会)、文屋亮(玲瓏)、松山真実(購読)、山下りん(ゲスト)、山田航、十谷あとり(日月/玲瓏)

今回は総勢十二人で、合計四十二首の歌を読むという、ボリュームのある歌会となりました。個人的に印象に残った歌をご紹介します。

○兼題の部 「生」

私とは生命線の交わらぬこいびとの手をなぞるぬくもり  月下燕

錯誤するものの一つとしてだけに受け取る学生集会のビラ  天昵聰

さみどりの布生地を裁つ左手に揺れるポプラの葉影もみどり  山田航

どこまでも君に向き合う顔上げて花かんざしの教える春よ  山下りん

いつまでも生ぬるいからひとくちも含まれぬまま座りておりぬ  有田里絵

くすぐったいみたいだアムールヒョウの子の誕生を聞くカーテンさわさわ  白辺いづみ

生き物の満ちるにほひに西日さす子どもの部屋の水槽ひかる  文屋亮

好きも嫌いも黙つてぎゆつと包み込め生春巻に透ける香菜【シャンツァイ】 十谷あとり

○自由詠

校庭につむじ風見ゆさらばさらばさらばとヘリコプターが過ぎゆく  山田航

アルパカの目つきでガムを噛む女おもむろにかばんから本を出す  雨宮司

「ほんにゃほんにゃおりゃ知らねえ」と唄いたる植木等は大衆の原像  福田貢一

スイッチを切れば互いは暗闇に吸収されるだけの半身  松山真実



一月に笹井宏之さんが旅立たれたあと、新しい季節が巡ってこようとしています。今回の兼題「生」は、笹井さんへの祈りをこめて、天昵聰さんが選んで下さいました。感謝も、悲しみや悼みも、少しずつ歌にして、天に供えるしかないのかもしれません。

A4のコピー用紙に描かれたアイスランドにふる雪の影  笹井宏之(かばん関西一月歌会詠草より)

目覚めない君のラストは真っ白な雪化粧という最高の歌  山下りん

言葉無き歌引き連れて流星の様なあなたのさよならでした  山下りん

星という星との距離をしみじみともう痛みさえ傍らに無い  山下りん

歌会にあの風は吹かないけれどROM派になっただけですよねえ  有田里絵

                                         (十谷あとり)

by kaban-west | 2009-03-05 22:40 | 歌会報告


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