かばん関西歌会

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2009年 05月 04日

4月歌会報告

「かばん関西四月歌会 歌会記」

<参加者> 安部暢哉、雨宮司、有田里絵、岩本久美(購読)、十谷あとり(日月/玲瓏)、月下燕(購読)、蔦きうい(玲瓏 選歌のみ)西井美子(ゲスト)、山下りん(ゲスト)、山田航

今月のお題は「鞄」でした。
新しい物事に触れる機会が多い四月、それぞれの思いを詰め込んだ二十首が集まりました。

順不同でおひとり一首ずつ紹介します。

☆道化師の鞄を盗む計画をぺらぺらとミルクまみれの舌は  山田航

ぞくりとするという意見と赤ちゃん・幼児の歌という意見に分かれた。
猫という読みも。
不気味なだけではなくコミカルな味を加えている下の句は魅力的で、高得点歌となった。
ショートストーリー仕立ての連作になりそうで、読み返すたび想像が膨らむ。

☆手品師ふたり手を取りあふて駆け落ちす裏地の紅き鞄の裡へ  十谷あとり

道化師の次は手品師。江戸川乱歩をイメージする人が複数あった。
ファンタジーとマジックの融合で、漢字使いもまさに作者ならではの滑らかさ。
鞄の中へ入って行く動作を表現しているのもさりげないようで個性的。

☆「遊覧ボートあります」とありジッパーで閉められそうな池のほとりに  岩本久美

ジッパーのインパクトに評価が集まった。
遊覧するほどの広さの無い池であろうという読みと、作り物めいた池という読みとがあった。
ありそうとなさそうのバランス感覚とモチーフの使い方が面白い。

☆右肩下がる通学鞄に入り交じる思いは同じ 15の君も   山下りん

後半の読みに不透明な点はあるものの、結句と青春の爽やかさが残る歌。
作中主体と鞄の持ち主との関係によっていろいろに読める。今回の出題者。

☆とりあえずキューブバッグで家を出る来ていなければそれだけのこと  有田里絵

たいしたことないのよというドライな読みぶりではあるが、内容はそうではない。
(男性の票をいただいて嬉しかったです。)

☆容疑者が通勤電車でぶちまけた鞄にぎっちり詰め込んだ桜  月下燕

どうも今回はミステリアスな雰囲気の歌が多かった。この歌もそのひとつ。
いったい何の容疑者なのかヒントは無いが、無実を祈っている。
詰め込まれた桜同様に文字がしっかりはめられているという意見があった。

☆バスケットケースにサンドウィッチ入れ今日もゆらりと古寺巡りゆく  雨宮司

さりげない詠み方とのんびり感覚に共感する意見が複数。こんな休日を送りたいものですね。
皆様のゴールデンウィークはいかがでしたか。

☆教室に置いたまんまの君の鞄 もうちょっとだけ残っていよう  西井美子

切ない恋の一幕。現役を過ぎ去ってしまった参加者が多いせいか(申し訳ありません)、
かわいいという声が多数。
歌でなら何歳になっても詠めるのに、なかなかできないものである。

以下、自由詠をいくつかご紹介します。

☆木に凭れ目を閉ぢてゐるしばらくを花は揺れをり前髪のごと  十谷あとり

☆チューリップを歌うくちびる懐かしく昔ながらの真っ赤を植える   山下りん

☆後ろから「待つて」と君にマフラーを引つ張られつい新雪を踏む   山田航

☆陽春のコーヒーショップの陽だまりに我探す君が言うおもしろき味   安部暢哉

新参加者の方もいらして、フレッシュな歌会になりました。今年度も新鮮な風を楽しんで参りましょう。

(有田里絵/記)
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by kaban-west | 2009-05-04 22:25 | 歌会報告


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