2010年 11月 26日

10月歌会報告

♪♪♪ かばん関西十月オンライン歌会記 ♪♪♪

参加者:雨宮司、有田里絵、十谷あとり(日月/玲瓏)、杉野裕子、福田貢一(北摂短歌を楽しむ会)、三澤達世

お題は有田の出題。
秋にちなんで「実」の詠み込み指定に致しました。
作者それぞれの実りが並びましたが、静かで淋しげなニュアンスの歌が多かったですね。
物憂い秋だからでしょうか。そう言えば何やら気候も不安定な月でした。
お一人さま一首ずつご紹介します。

 <兼題の部> 

☆どうせなら花も実もある生活をささやかながら送りましょうぞ   雨宮司

はい、その通りです、と素直に言えます。よく分かる歌。
とはいえ、さらりと乾いた雰囲気なので好印象に受けとる意見もありました。
人生は一度きりですもの。
年齢に関係なく、花も実も必要ですね。と、言ってみるのであります。

☆らふそくのほのほの色のおほき実にくりぬかれたる容貌はあり   十谷あとり

ハロウィンを題材にした歌。ひらがな使いが炎の揺れを思わせます。
「容貌」の語を使ったことでジャック・オ・ランタンが存在感を増します。
毎年くりぬいて作ってみたいと思うのですが、かないません。
けっこう難しそうだし、私は皮もすぐ料理してしまうからです。

☆春風の実習室に吹き抜けて白衣三着袖を振りたり       有田里絵

十月歌会に春風を出したにもかかわらず好意的コメントをいただいた歌。
ほのぼの、さわやか。作者自身は学生時代の実習室を思い出して詠みました。

☆逆さまに団栗の実の廻りをり盆のざわめき失せし卓の上    杉野裕子

「盆」を、八月のお盆と読む意見と、お皿を運ぶお盆と読む意見が出ました。
前者であれば、親族が帰って静かになった家でほっとしつつも
淋しさを感じる歌になり、後者であれば歌の背景にいる人の数は少なくなります。
固有名詞の受け止め方で似ているけれども違った読みになる、面白い例でした。

☆整えるひとなきリンゴ棒立ちのままささやかな実をつけており   三澤達世

さりげなさの中に熟考が伺えると評価された歌です。
荒れた土地でほったらかしのリンゴの木にも実がなる。しかしそれはささやかな実。
観察が行き届いて、的確に表現されています。表記にも工夫が見られます。

続いて、自由詠から何首かご紹介します。

☆空気椅子する少年と腿上げをするわたくしで信号を待つ    三澤達世

☆ぬばたまの夜に鳴きいるこおろぎのその音色の哀切深し   福田貢一

☆ハロウィンの南瓜をくりぬくくりぬかれてはじめて笑ふ口もともある  十谷あとり

☆戻れない先に進めばおそらくは 君がブラウスへと手をかける   雨宮司

次回のオフライン歌会は一月の開催予定です。オンライン歌会は毎月続いております。
メーリングリスト登録者数も随時増えており、皆様のご所属も様々です。
かばん本誌とは違うメンバーでの歌会を楽しめて大変有意義です。
皆様のご参加をお待ち致しております。
                    (有田里絵/記)
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by kaban-west | 2010-11-26 09:31 | 歌会報告


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