2010年 12月 07日

11月歌会報告

かばん関西十一月歌会報告

[参加者]雨宮司、有田里絵、黒路よしひろ(ゲスト)、福田貢一、三澤達世、十谷あとり(日月・玲瓏)

今回の兼題は「うつる・うつす」とし、表記・詠み込みは自由といたしました。兼題の部に九首、自由詠の部に十二首の作品をお寄せいただきました。作品の一部をご紹介いたします。

〈兼題の部より〉

・列車ゆく森の野池の脇かすめ水面【みなも】の夜にともしび映す  雨宮司

叙景に徹して共感度の高かった歌。「ともしび」が何の灯なのか、また「森」「野池」「水面」などの位置関係をもう一段整理できるのではという評が出されました。

・ブラウスに影うつりするインナーをさらり着こなすボブのママ友  有田里絵

・にこやかに集合写真に収まりてママ友達のキメ顔を知る  三澤達世

偶然並んだ「ママ友」の歌二首。どちらも、母という立場にあっても「キレイでいたい」という志を忘れない女性を描いたもの。前者には、「影うつり」という表現がよい、「ボブ」が人名なのか髪型の名称なのかわからなかったという意見、後者には、情景がほほえましい、日常を切り取るセンスがよい、「にこやかに」と「写真に」の「に」の重なりは推敲できるのではないかとの意見がありました。

・鉛筆に指黒くして写しける遠近運選歪なりけり  十谷あとり

「遠近運選」という意味不明な文字列で読者全員を混乱に陥れた怪歌。「『遠近運線』の書き間違いでは?」「手相のことでは?」「意味はわからないが狂気に似たものを感じる」等、難儀しながらも読み解こうとして下さった読み手のみなさんに感謝いたします。「遠近運選」の部分を「しんにゅうの文字」と改めさせていただきます。

〈自由詠の部〉

・競馬なるヨタ話しをぼそぼそと語りてやまぬ寺山修司  福田貢一

・花嫁のごとくきれいな姿みて少しさびしき七五三かな  福田貢一

前者は没後四十年を迎える寺山修司を描いた歌。「二句目の字足らずが気になる」「もう少しマニアックなこだわりがあってもいい」との意見が出されました。
後者は作者自身の体験に基づく感慨を詠み込んだ歌。素直な心情吐露に共感が寄せられました。「体験に裏付けられた説得力がある」「表現にもう少し独創性があってもよいのでは」という評もありました。

・陽が暮れる山ふところに没するは結末を観ない映画にも似て  雨宮司

太陽そのものは山に隠れてしまったが、空はまだ明るいという状況をうたいとめようと挑んだ叙景の歌。「山ふところ」ということばにあたたかみがあってよい、「結末を観ない映画」という表現に既視感があるとの評がありました。

・しまうまの遊具は臀部にポンカンのシール貼られて君はポンカン  三澤達世

身辺の観察から生まれたユニークな歌。しまうま型の遊具の臀部に貼られたポンカンのシールから、しまうまがポンカンに転換してしまいました。遊び心が勝っている、「ポンカン」ということばにぽかんとした気分を誘われてよいという好意的な感想が出されました。また「君はポンカン」という結句がやや意味不明である、「臀部」ということばが目立ちすぎとの意見も。

・霜月は指を冷やしにやってくるつなぐ誰かを求める朝【あした】  有田里絵

上句の表現のうつくしさが好評だった作品。下句はやや意味が曖昧なので、もうすこし表現を詰められるのではないかとの指摘がありました。



今回はかばん関西歌会初参加の黒路よしひろさんが熱のこもった評をたくさん書いて下さいました。ありがとうございます。これからもひきつづき歌会をお楽しみ下さいますよう。

二〇一〇年は毎月のメーリングリスト歌会に加え、四月に中之島吟行、六月に心斎橋筋商店街吟行、九月にはレ・パピエ・シアンとの合同歌話会を行うことができました。これからも、かばん関西のみなさんと歌を楽しみつつ、何かしら少しでも学びや刺激になることを企んでまいりたいと存じます。二〇一一年もさっそく一月に大阪市内でオフライン歌会を催します。メーリングリスト歌会・オフライン歌会ともにどなたさまもウェルカムですので、どうぞお気軽にお問い合せ下さい。(十谷あとり 記)
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by kaban-west | 2010-12-07 12:38 | 歌会報告


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