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かばん関西歌会

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2011年 07月 25日

7月オフライン歌会 報告

かばん関西 七月オフライン歌会報告

[参加者]雨宮司 有田里絵 黒路よしひろ(ゲスト) 十谷あとり(日月) 瀬波麻人(未来・購読) 
七月十日(日)、大阪市中央区のボタン店にて、四ヶ月ぶりにオフライン歌会を催しました。午前中は当日持ち寄った詠草による歌会、午後はかばん新人特集号について意見交換を行いました。

[歌会]上位作品は左記の通りです。
三点歌
・川の中ビニール傘の柄のささるネッシーを見たことにしておく  有田里絵
二点歌
・夕立がもうすぐどっと落ちてくる一回馬鹿にされちゃえば楽  有田里絵
・護りたい人がいたから少年の僕は戦うことを選んだ  黒路よしひろ
一点歌
・をさな日にひたに怖れてをりしもの血、オノ・ヨーコ、箪笥の引き手  十谷あとり
・太陽が眩しかったらわたくしと踊りませんか殺人ルンバ  雨宮司

[新人特集号についての意見交換]一番よく読み込んで来られた雨宮さんの選歌をたたき台とし、それぞれの連作に対する感想、よいと思った歌とその理由、外部内部の評を読んで思ったことなどを自由に出しあいました。ごく一部を左に記します。

あまねそう「切り絵だったのかもしれない」より
雨宮選
・白色に濃さのあること思いつつ牛乳を飲む 雨の降る朝
十谷選
・川べりの工場を染める夕まぐれ どうして誰もいないのだろう

オカザキなを「あかい頭巾がほどける日まで」より
黒路選
・お祖母さんは狼でした。足が疾く吠えながら母を産んだといいます
雨宮選
・血はにがく流れつづけて舌先で探れば抜糸痕という欠損
有田選
・「今だってここにいるけど生と死の違いがやっぱりわからないんだ」
・「いまメールしてるうちらも死んでたり? 今度焼肉食べに行こうね」

白辺いづみ「夜の惑星」より
雨宮選
・息をする夕焼けの息が肺に入る わたしに入ってこないでください
有田選
・朝風呂の窓うつくしく頭から水にほどけてひらがなになる

陣崎草子「呼び声」より
瀬波選
・靴下を脱ぎつつ君に訴える 1+1を8にしたい

三澤達世「植物歌」より
雨宮選
・逆光のタバコ畑に残された茎は無名の墓のようなり
黒路選
・はるの陽はこぶしに射してはるの陽をこぶしは返す白く訳して

山田航「珈琲牛乳綺譚(ミルク増量Ver.)」より
雨宮選
・つむじから風は螺旋に身をくだり足にはぼろぼろのコンバース
黒路選
・金曜九時。落ち合ふ先は禁猟区。逢瀬と呼んで構ひはしない――

短歌作品以外も、山田さんの回文の迫力に圧倒されたり、三澤さんの「サナエさん」を面白く読んだり、読み応えのある新人特集でした。内容が濃く、短い時間で語り尽くせるものではありませんでしたが、この場で交わされた意見や感想を、各自が再び読みを深めていくきっかけにできたらと思います。
かばん関西のオフライン歌会、次回は九月開催の予定です。(十谷あとり記)

by kaban-west | 2011-07-25 09:12 | 歌会報告


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