かばん関西歌会

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2013年 12月 07日

9月歌会報告

9月かばん関西オンライン歌会記

 

あまねそう、雨宮司、有田里絵、ガク(ゲスト)、紀水章生(中部短歌会/塔)、黒路よしひろ(ゲスト)、サカイミチカ、佐藤元紀、塩谷風月(シアンの会)、十谷あとり(日月)、鈴木牛後、蔦きうい(玲瓏)、冨家弘子、福島直広、ふらみらり、文屋亮(玲瓏)、兵站戦線、三澤達世

 

今月の兼題は「空」。9月の空は夏から秋へ、この時期だからこそのナイスアタックなお題でございます。今回は各々の兼題、自由詠の、より得票数の高かった方の歌をチョイスしてみました。それでは皆さん、詠って下さい♪♪♪

 

兼題の部「空」

 

空想の彼女とふたり朝焼けを見ました僕は泣いていました 黒路よしひろ

 空想の彼女にせつなさを感じる、夕焼けでなく朝焼けなのが良い、応援したくなる等の好意的な意見が多かった。何故泣いていたのか分からないとの指摘もあった。

 

水色と言わずにきみは空色と好きな帽子について話した 有田里絵

空色の帽子なのか、空色と帽子の二つの話題なのかつかみにくいとの意見もあったが、頭にのせる帽子と「空」の結びつきが心地よいと好評だった歌。 こだわりを持つきみを、見守る視線の温かさがよく伝わっている。

 

思ってたより心もち青い空ぼくとおデートしてみませんか 福島直広

上の句の言い回しが面白いとの評価の反面、おデートに「歯切れが悪い、気持ち悪い」や「可愛らしい、憎めない」等、賛否が分かれた。「実際に言った事は有りません」(作者談)断!

 

マグリットの青空の下ふたりとも消えちまふまで愛しあはうぜ 佐藤元紀

 マグリットの描く鮮やかな青空の下、消えてしまうまで愛し合う二人の儚さが美しい、下の句のロックバンドのような雰囲気との組み合わせも歯切れ良く決まっている。

 

屋上のパーキングには「空」とあり空であるゆえ青く光りぬ  あまねそう

青空のすがすがしくすかーんと突き抜けた感じが心地良い。説明的だったり少々理屈っぽいと言う意見もあったが、そのままの情景にも「ああ、そうか。そうなのだ。」と思わずうなずいてしまえる歌だ。

 

掬っても空に消えゆく涙砂指のあわいを抜けすきとおる 兵站戦線

涙砂とは造語だろうか、上質の歌謡曲みたいにずしんとくる言葉だ。涙のこぼし方の描写が美しい、との評価の反面で、陶酔している歌謡曲のよう、もう少しあっさりして良いのでは、との意見や、上の句と下の句が矛盾しているとの指摘もあった。 

 

暗黒の虚空を全て脱ぎ捨ててウルトラマンは地へと降り立つ 雨宮司

暗黒、虚空の意味の重複を指摘されたが、兼題「空」でウルトラマンの登場シーンを詠んだところに個性が感じられる、上の句の「こ」と「す」の連鎖が心地好くあとを引く。

 

空に声突き上げ走り出しそうな私の肩を私がおさえる ふらみらり

声を突き上げる、という表現が目をひく今月のふらみワールド。衝動に駆られる自分とそれをおさえる自分、私の中の二人の自分のせめぎ合いが快感にも思えてしまう。もう字余りだとか気にしないのだ。

 

ラバウルの空から祈る君の子よ星辰無限うらうら育て 蔦きうい

祈っているのは戦死した父親なのか、との読みが多かったが、わが子とは言わず君の子と言う微妙な距離感からか、前々回から続く未亡人と大佐シリーズか、と読む者もいた。下の句に強い愛が感じられる一首だ。

 

空き箱に詰めし書籍を探したれば「ありがとう」とふ手書きの栞 塩谷風月

兼題に対して「空き箱」の発想が新鮮な一首、思いの伝わらなかった恋人なのか、友人かはたまた我が子なのか、話が出来すぎかと言う意見もあったが、妄想でおかわり三杯はいける歌だ。

 

テーブルにはみ出しているクレヨンのそらいろ雨の季節が近い 三澤達世

はみ出したそらいろが何かメッセージのようで、そのそらいろを見て、梅雨の近づきを感じる母親の感性こそが、子供への愛情なのである。お昼寝中の子供は今、空色でなく「そらいろ」の夢を見ているのだ。

 

空いちまいめくれば次に紫のかかった傷が顔を出す 痒い 冨家弘子

 青空からトワイライト、夜に至るまでの過程を一気に詠みあげた美しい一首。結句の「痒い」が独自の境地に達している。「密室のバンドエイド!!それか心の傷をカバーしてる透明の絆創膏??」とはふらみワールド的解釈。

 

くらげくらげ なみに揉まれてかぜに吹かれ遠いお空に消えてゆきます ガク

 ふわふわと空を漂うくらげに違和感はなく、寧ろ儚ささえも感じてしまう。海から空へと飛躍していく展開についていけないとの意見もあった。ここだけの話だが、昔の恋人に「あんたくらげみたいだから」とふられた事から生まれたくらG…ではない、歌だった。

 

自由詠の部

 

ひと月に一度は同じ話してふたりでひとつの暦と暮らす  鈴木牛後

下の句のふたりでひとつの暦と暮らすという表現が、多くの共感集めた。ふたりで同じ時を刻んでいこうという思いにほのぼのとした暖かさが感じられる。ひと月に一度という距離感も二人で築いた間合いなのだろう。

 

横ざまに積まれゆくとき自転車は無数の傷の集積となり  十谷あとり

「横ざま」、「無数の傷の集積」という響きの美しさが高評価を集めた。無表情に撤去作業を進めていく作業員。鉄のぶつかり合う音は、感情を持たぬ自転車の叫びなのだ。

 

蛍火が冷たいなんて思へない狂ふがごとくもつれ飛ぶ夜  紀水章生

錯乱したかのような蛍の乱舞に情念が感じられる、誰もが共感できる一首となった。上の句の表現には、「詠むときに自分の感慨は隠しておいて、写生に徹したい」との意見もあった。

 

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                              (福島直広・記)


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by kaban-west | 2013-12-07 16:50 | 歌会報告


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