2014年 08月 12日

7月歌会報告

 かばん関西2014年7月オンライン歌会

【参加者】あまねそう、雨宮司、新井蜜(かばん/塔)、有岡真里(飛聲/購読)、有田里絵、ガク(ゲスト)、紀水章生(中部短歌会/塔)、黒路よしひろ(ゲスト)、小坂井大輔、佐藤元紀、蔦きうい(玲瓏)、とみいえひろこ、福島直広、ふらみらり、兵站戦線(かばん/塔)、茉莉(ゲスト)、三澤達世、山下りん(ゲスト)※所属記載の無い方は「かばん」正会員。

 今回の歌会で進行係の三澤達世氏から出された指令は、7月14日を締め切りとして兼題「休」を詠み込めというもの。夏休みを目前にして、わくわくした心を言葉にのせた短歌が集まると思っていたが。それでは簡単な章立て形式にして、紹介したい。

  ★休みたいのだ!★ 

休みくれボーナス百万円程と三十連休程休みくれ  福島直広
 ストレートな表現に賛否両論。プロレタリア短歌だという意見、直接的で詩情はないという意見。叫んでいますね。

休めない休みたいけど休めない窓の外には抜ける青空  ガク
 とてもとても休みたい気持ちが反映されている。それでも休めないことがある。やるせない気持ちを青空に吸収させてほしい。

休みたい何も食べられずひたすらの吐き気にたふる朝を重ねて 佐藤元紀
 今回の歌会で一番疲れている歌。休ませてあげたいと思った人多数。つわりかと思った人も。ここまで疲れてしまうって。佐藤さん、みんな 心配しています。

休憩をとることのなき心臓が唯一我のタフさ と思う  あまねそう
 自分はタフではないと婉曲に告白しているところに好感がもてる。歌会に参加していることはタフな証拠だという意見もあった。

またしても休暇願いの理由欄なぜ歌会と書けなかったの?  ふらみらり
 そりゃ書けないだろうけど、それでいいんじゃないのというのが総体的な意見。短歌を作ってるってやっぱり周りの人に言いにくいのかな。

  ★恋する心に休みはないのか★

混ざり合うにおい覚えたシーツごと休みはじめる部屋 雨の音  とみいえひろこ 
 匂いは過去を呼び寄せて、湿度は嗅覚を刺激する。「雨の音」という言葉が効果的で、けだるく艶っぽい歌。

休ませよ心と体ひたぶるに駆け引きなしの恋の境涯  兵 站戦線
 駆け引きする余裕もないぐらいの恋 心は暴走して、休みたくても止まれない。本気で恋するってしんどいですよね。

弐時間の休憩買ふてたゞ髪をいとしく切りあふ きもち累るい  蔦きうい
 累るいとは重なり合う様のこと(黒路氏より)。休憩を買うという表現から、ホテルでの逢瀬で髪を切り合っている情景がうかがえる。「きもち累るい」も惹かれる言葉だが、「ただいとしく」がキーワードだと思う。

別れたら座って休めなくなった背もたれにただよりかかるだけ  有田里絵
 失くしてから、その存在の大きさに気がつくことを象徴した歌だろうか。電車の座席を思った人もいた。わかりにくい歌だが、一つ一つの言葉が具体的なので、想像を広げる手がかりがたくさんある。

僕の肩まくら で眠る休日の電車にきみが奏でる寝 息  黒路よしひろ
 よく見かけるような日常の風景だけれども、作者にとっては宝物のような時間を短歌という結晶にして手のひらでながめているような歌。

  ★母さんも休みたい★

母の顔休みて登る鞍馬山金星人と分けあふ紅茶  有岡真里
 母である立場をつかの間忘れて山に登ったときの開放感か。そんなときなら金星人に会えたかも。それとも一番星の金星と交信したのだろうか。

休日の母はカラオケボックスで光の模様を撒き散らしてた  小坂井大輔
 「光の模様」とはミラーボールだろうか。それとも母の生命力?いつもと違う母の一面を見て驚いている様子。でも、それをほほえましく思う作者の視点も感じられる。

  ★固有名詞はつよい ★

日傘さし三休橋にたたずみて別れ ませうときみは微笑む  新井蜜
 三休橋という固有名詞が効果的。日傘、橋、微笑みというとりあわせが狂気をはらんだ女性を連想させる。

あるがまま好き放題をやらかして風吹くままに一休宗純  雨宮司
 そんな生き方をしたいとつぶやいた人多数。アニメの人物像とは違う。でも、達観した僧だからこそ、好き放題やらかしてもぶれないものがあったのだろう。

  ★音楽にも休息はないのか★

休まらぬ頭は冴えて携帯の着信音にも音符が浮かぶ  茉莉
 疲れすぎて休みたいのに頭が冴えて、何気ない日常の音まで音符にしてしまうのだろう。もうその音符を子守歌に編曲することで、脳内をストレッチするしかない。

  ★休みの日、何する?★

海 へ行く高速道路は混むだろう大きな ものを洗う休日  三澤達世
今回歌会の最高得点歌。「大きなもの」とは何かという考察があった。心とか、命の洗濯という言葉も連想させる。作者はどこへも出かけていないのに、のびのびと休日を楽しんでいる。

 今回の歌会は、休日を楽しんでいるというより「休みくれ」「休ませよ」「休めない」「休まらぬ」「休めなくなった」「休みたい」と、疲れて休みたくてしょうがないのに、気まじめゆえ?に休めない、かばん関西人の悲鳴がたくさん集まった歌会となった。

 最後に、自由詠の中から、高得点歌を紹介したい。
ひとときのいこひは串をはづしつつあなたとつつくうづらのたまご  佐藤元紀
明日咲く用意ととのえ朝顔は女の指のかたちに眠る  有田里絵
ゆびさきに蛍とまらせゆくあなた風に仕へる巫女のやうなり  紀水章生

(ふらみらり 記)
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by kaban-west | 2014-08-12 19:58 | 歌会報告


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