かばん関西歌会

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2007年 01月 30日

1月歌会報告

かばん関西2007年1月歌会 報告記

【参加者】雨宮司、有田里絵、大澤美枝子、笹井宏之(購読・未来)、十谷あとり(日月・玲瓏)、蔦きうい(玲瓏)、山下りん(ゲスト)、棉くみこ

今年初めてのML利用のオンライン歌会。新メンバーも増え、オンラインながら活気ある歌会となりました。

☆題詠「紙」

折鶴の羽をはさみで切り落とす 私にひそむ雨の領域  笹井宏之(4票)

 一読して恐怖にかられるものの、下句の表現力を評価する声が多く高得点歌に。暗い情念を「雨の領域」とした点が秀逸。

いにしえの高知のみやこ春きざす千代紙市場にマルコポーロが 蔦きうい(3票)

 千代紙市場とマルコポーロの取り合わせが絶妙。高知という舞台設定も説得力があり、時空を超えて読み手が自由に遊べる作品となった。

ドイツ製万年筆に合うようなレターセットを探しに神戸  有田里絵(3票)

 おしゃれなエッセンスと作者のゆとりが感じられる作品。海外への出口でもある「神戸」がぴったりという意見と、「神戸は付きすぎ」の意見に分かれた。

コーンより紙がいいよと言っていた君の金魚と冬を越します  有田里絵(3票)

 上句から金魚すくいとわかった人も、ジェラートと勘違いした人も、もう会えない恋人(?)を思いつつ金魚と冬を越すせつなさが実にいいと好評でした。

幼子にかへりし祖母の折り紙が窓辺をかざる春の七草  山下りん(2票)

 祖母のいる情景がおだやかで、なんだか一首自体を撫でたくなるような歌。「春の七草」がやや唐突との意見も。

宦官のひきつり笑ひ クーポンの破(や)れ目―キリトリ―線を逸れゆき  十谷あとり(2票)

 切り取り線があるのにうまく破れない、よくある場面だが「宦官」を導き出して成功。宦官を自分と捉えて、自嘲しているのかも? 苦笑と皮肉が効いた、今回の中では異色(?)の歌。

☆自由詠

自由詠はホントにバラエティー豊かで、票がほぼ1点ずつ分かれるという結果になりました。

大空にただ一片の雲がいま東下りの段をそらんずる   雨宮司

 目の前にゆったりした景が広がる。「東下り」は伊勢物語をイメージさせ、雲がそらんずるという視点が面白い。

なまこ漁始まれりとラジオ言う温燗このわた冬の幸せ   大澤美枝子

 以前の煮魚の歌をはじめ、美味いものシリーズが好評の大澤さん。だれもが飲みたくなる一首。「冬の幸せ」は不要か。

あたらしい年を迎えて花瓶から一気に落とす水太くあり   棉くみこ

 「水が太い」の見立てがよい。新年に合った歌。

豆腐買うかえりにジョージハリスンが大艦隊を仰ぐゆうぐれ  蔦きうい

 なぜ、ジョージなのだかわからないが、ジョージでなければならない、妙な説得力のある歌。「豆腐買う」も効果的で、圧倒的な冬の夕暮れが迫ってくる。

* * * * *

 今回も面白い歌が多く、参加者さんの歌評を参考にしつつも、私自身の思い入れいっぱいのコメントを書いてしまいました。
 有田里絵さんの「ドイツ製万年筆」の歌について、「神戸」がよい・よくないと分かれたのは、予定調和を好むか好まないかの違いではないかとの意見が、初参加の蔦さんから出されました。その後しばらく、その話題で盛り上がり、それぞれが自分の選歌基準についてあれこれ考えるきっかけとなりました。
 私は「予定調和よりズレが好き」と発言したものの、選歌基準って、その日の気分で変わったりもしますし、選歌ってむずかしいなあと思ったり忘れたりの雪の夜です。(棉くみこ記)
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by kaban-west | 2007-01-30 11:39 | 歌会報告


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