2007年 08月 06日

7月歌会報告

◆◆◆ かばん関西 歌会記 ◆◆◆平成19年7月 オンライン歌会

【参加者】雨宮司、笹井宏之(購読・未来)、十谷あとり(日月・玲瓏)、蔦きうい(玲瓏)、福田貢一、山下りん(ゲスト)、棉くみこ、有田里絵

◆兼題「古いもの なつかしいもの」

今回の兼題には、素材として、古典の時代のものを使うか、自分が体験した懐かしいものを使うかに分かれた。
素材の選び方も作者に寄って様々で、バラエティーに富んでいた。

☆湯上りのモモレンジャーがあきらめた恋を茶の間で万華鏡へと  蔦きうい
1票(笹井)

コメントが多く寄せられた歌。取り合わせの妙は好評だったが、結句が不明という意見も。恋を昇華させようとしているのではという説が出た。

☆わが恋ひし年上の乙女輝きて天橋立荘厳の極み  福田貢一
1票(雨宮)

語句の重複を指摘する意見はあるものの、恋愛の思い出の舞台として天橋立を持ってきたのがうまいという声あり。

☆あなたはもうピアニカケース こんこんといつまでも空色のねむりを   笹井宏之
5票(福田、十谷、蔦、有田、山下)

コメントの多さもピカイチだった歌。「ピアニカケース」「空色」の語句に美しさと物悲しいイメージが溢れ、高い評価が寄せられた。作者本人を歌ったのではないかというシュールな読みもあった。

☆放課後のオルガンの影はしずまりてコロッケの包み紙を破りぬ  棉くみこ
5票(福田、蔦、有田、山下、笹井)

「影」をオルガンの音だと読む説と、手の動きだという説が出た。オルガンなら小学校だけど、放課後にコロッケを食べるの?という面白い指摘も。詳細は不明だが参加者それぞれが想像を膨らませた歌。

☆児童書の棚にピッピとモモがいる素通りできず触れる背表紙    有田里絵
2票(棉、笹井)

「ピッピとモモ」の出てくる題名を知っている/いないに関わらず、実際に手に取るわけではなく背表紙に触れるという行為に共感が寄せられた。

☆名作アニメの再放送に流れてたパルナスの店も今はもうない 雨宮司
1票(福田)

「パルナス」の固有名詞だけで郷愁を感じる読み手が多数。結句の表現の仕方がありがちだという指摘も。

☆ほんのすこし命をおわけいたします 月夜の底の紙ふうせんへ   笹井宏之
3票(十谷、蔦、山下)

洗練されたイメージの世界に評価が集まった。大人のメルヘンであるという読み、「息=生き」という指摘に納得。

☆どのノートの隅にも書かれ青空へつながっていたRCサクセション  棉くみこ
4票(福田、雨宮、十谷、有田)

懐かしさと青春の爽やかさを存分に感じさせてくれた歌。 「青空へ」つながる素直な明るさに引かれる声も多かった。

◆自由詠

☆でんじろう先生がゐるこの街に手をつなぎあふ電信ばしら   十谷あとり
3票(棉、山下、笹井)

「手をつなぎあふ」で先生の人柄をうまく伝えている。

☆にぎやかなカードゲームがそこここで始まるらしい紫陽花の道  山下りん
3票(福田、棉、有田)

ゲームを楽しむ子供の声と花の明るさがマッチしていると評価された。

☆灼光の渦巻星雲人類はどこから来たのだろうと人麻呂  蔦きうい
1票(福田)

歌意が不明だという声はあったが、「渦巻星雲」の面白さに好感を持った人も多数。祖国に帰らなかった人麻呂と、人類を対比しようとする声も。

☆約束に次という字がない日には一輪の薔薇を咲かせてほしい  山下りん
3票(十谷、蔦、有田)

ロマンチック。恋愛の歌を正面から詠めるということに、好感と同時に少しの羨望を示す声があった。

☆ブラインド指にたはめて離すときけものの耳の小さきはたたき   十谷あとり
4票(雨宮、有田、山下、笹井)

結句の意味とイメージをすんなりつかめるかどうかで意見が分かれた歌。ブラインドの動きが耳の動きに似ているという発見には好印象。

☆かすかにゆらめく炎浮かび上がる太子の眼かっと見開く   福田貢一
1票(笹井)

炎が太子に見えたという発見の歌。現在形が効果を発揮している。初句を定型に揃えるほうがいいという意見も。
                        (有田里絵)
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by kaban-west | 2007-08-06 12:54 | 歌会報告


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