2007年 10月 04日

9月歌会報告

*関西歌会  二〇〇七年九月 オンライン歌会*

【参加者】天昵 聰、雨宮司、有田里絵、笹井宏之(購読・未来)、十谷あとり(日月・玲瓏)、関川洋平、蔦きうい(玲瓏)、福田貢一、棉くみこ

◆兼題「磨く」

芸術の秋→芸→磨く? から決定! 歯磨き、靴磨きなど日常詠から感覚的なお歌まで、バラエティー豊かに22首そろいました。新会員の天昵 聰さん、関川洋平さんにもさっそくご参加いただきました。

日曜の晩の玄関 夫磨く六年モノのリーガルシューズ  有田里絵

〈磨く〉まで二百万年かかったと石器は語る 妻はガムかむ  天昵 聰


☆趣の異なる夫婦詠。
一首目、「日曜の晩」が仕事に備える夫像を浮かびあがらせて効果的。「地味だけどしっかりと存在しているもの」を感じる、と好意的な意見を集めた。助詞(玄関に、夫の磨く/夫は磨く)の省略が気になるとの指摘もあった。
二首目、場面は博物館? テレビの特集? と確定されていないものの、石器に夢中になっている夫と、妻の無関心ぶりが面白いと好評。「妻はガムかむ」のリズムも印象に残る。

球体のあなたが床に転がっていたのでかるく磨いてやった  笹井宏之

夏の陽を率(ゐ)る一輌は音たかく川のおもてを磨きすぎたり  十谷あとり


☆今回の高得点歌。
一首目は、笹井ワールド全開で5得点。「球体のあなた」は月などのモノ派と、優しくてまろやかなヒト派に分かれたものの、いずれも“いたわり”を感じさせるとの評。「磨いてやった」は、羞恥心からぶっきらぼうになった、サンドペーパーで軽く傷つけるように磨いたという声もあり、この歌の持つ“フクザツなやさしさ”が歌評からも伝わってきた。
二首目、真夏日に鉄橋を渡る一輌が鮮やかに浮かぶ作品。読後も爽やかで4点歌に。日差しも、列車も、川面もまぶしい!

宿命論的粘液におほはるる護謨【ゴム】の樹の葉を磨く 独夜に  関川洋平

歯を磨き顔を洗ふ所作ごとに仏法定むる道元禅師  福田貢一


☆「ハ」を磨く歌。
一首目、歌い出しの漢字が印象に残る。独夜に葉を磨く行為、ねばつく感覚が独特の雰囲気を生んでいる。
二首目、フツーの生活に突如、道元が出現する迫力に打たれとの意見も。日々修行と考えている作者の姿を想像させる。

五匹中器量の悪い一匹をことさらブラシで念入りに磨く  雨宮司

寒天でベリーを固めるみずいろの帽子をかぶる おとこをみがく  蔦きうい


☆話題をさらった歌。
共感を呼ぶ一首目、ほとんどの人が犬と判断したものの、ゴキブリを浮かべたとの意見も。その理由として「ゴヒキ」という音からの連想、「念入りに磨く」が油光りをイメージさせるから、と十谷さんから指摘が寄せられて、納得。
二首目、女性陣は上句に注目。「寒天ベリー」と「みずいろの帽子」をポップな「おとこのみがき方」と受け取ったのに対し、殿方からは反発が……。「それを言っちゃあおしまいよ」的反応、「汗臭さは不要ということなのか」という意見が見られた。それらを受けての作者メール「異性に媚を売るのが気に入らないというのはトーゼン」に、アタシは深くうなずきました。

◆自由詠

今回は題詠に話題が集中しましたが、自由詠から数首を。

大量のキダチアロエの夕暮れは触手を伸ばす海星【ひとで】らに似て  雨宮司

液晶に照らされて毛は細長く肌薄白く イグアナを飼う  天昵 聰

百二十二字を一気に省略しテフロンのようにひびくテロトク  棉くみこ

                                         (棉くみこ記)
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by kaban-west | 2007-10-04 20:25 | 歌会報告


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