かばん関西歌会

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2008年 02月 23日

2月歌会 吟行詠草

――2008年2月23日 奈良駅近辺にて吟行。美術展、商店街、奈良公園などを題材に詠む。

   雨宮司  十五首

梅が枝(え)が口紅色にふくらんで春一番を待ち望んでる

ゆっくりと旅を楽しみたい時に接続もよく急行が来る

通り雨 アーケード街を巨大なる鯨の腹となして去りゆく

金文と行書と篆書を並べ書く文字サンプルと言わしめたいか

縦横にノイズのような条(すじ)を入れEXILEとぞ薄墨で書く

氷結す水惑星の表情を画は眼前に突きつけてくる

高き路地から海を向く風景画いつしか白く波打っている

ざかざかと白く潮吹く石垣を描いた者は「海風」と名付く

三十八、三十九と自らの歩数を述べながら子ども行く

「鹿男あをによし」というドラマなど飛火野にいる鹿は知らない

メモ帳を取り出さなくてよかったと鹿に追われる男を見遣る

松が枝(え)が突風に折れ道路上に一メートルの姿をさらす

阿修羅像は現在修復中らしいだから国宝館には行かない

「鹿煎餅そんなに旨いか」とう声を飛火野辺りで聞いた気がした

風強く時にみぞれが降る中をネタはないかと歩く身の性(さが)

   
   十谷あとり  十三首

城址(しろあと)のなだりに咲ける水仙の白と呼ばむにつめたきひかり
                                       大和郡山城址

くたびれたモリゾーのごとく安らかに水菜は新聞紙(しんぶんがみ)に包まれ

吹き来ればその北風に松の木はことのはのごとき針をし降らす

馬を御す巫女に唐傘さしかけて従ふ男趾(あしゆび)ふとし
                                春日若宮御祭絵巻

鹿の意匠あまた飾れるアーケードものを買わざる歩み愉しも

風呂敷を巻いて従弟の飛び降りし柿の木ありき府中の家に
                                備後府中の記憶

トラックに湯気をたてゐる瀝青に降(くだ)りて春の雨雪は消ゆ

圧輪に延(の)しならさるるアスファルト春風の底を黒く灼きつつ

大いなるソフトクリームの張りぼてにちかづき触るるをさなごの指

定食屋おかるの横の路地を出で耳のうしろを掻く猫のあり

のどやかに人らゆきかふ三条通ソニック・ザ・ヘッジホッグの着ぐるみは歩む

古書店に飼はるる猫のときとして足音もなく本を踏み越ゆ

あんぽ柿きんかんぽんかんそれぞれのころがりやすさもちてひしめく

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by kaban-west | 2008-02-23 22:34 | 歌会報告


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