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2006年 06月 30日

6月歌会報告

かばん関西2006年6月歌会 報告記

【参加者】雨宮司、有田里絵(司会進行)、笹井宏之(講読)、十谷あとり(玲瓏・日月)、日向寺みづほ(講読)、やや(ゲスト)、鷲家正晃(ゲスト)、棉くみこ

 6月の歌会はMLを利用したオンライン歌会を開きました。題詠はサッカーW杯にちなんだ兼題「足または脚」が19首、自由詠は14首の詠草が出揃い、選歌に苦戦した人も。最高得点は、題詠・自由詠共に5点でした。

■題詠「足または脚」より

(5点歌)
去年から積みっぱなしの三脚を思い出させてくれた夕立  有田里絵

こころにも手や足がありねむるまえしずかに屈伸運動をする  笹井宏之

 一首目、夕立で何かを思い出すのではなく、夕立が何かを思い出させてくれるという語句の転換がおもしろい。「夕立」がこの季節にぴったりの歌。二首目、柔軟で伸びやかなこころ、素直なこころを感じる。ひらがなの使い方が良い。「こころの屈伸運動」という捉え方も新鮮。
 他の注目歌も見てみましょう。行末の(数字)は獲得票です。

あかときの壁わたりゆくピアニシモ蜘蛛よその脚をひらきつくせよ   十谷あとり(3)

ひとあしまたひとあし水を踏む鷺の脚見つむれば瞳は濡れ来   十谷あとり(2)
スタートの乾く一声待ちかねて足という足われもと駆ける   雨宮司(2)

素足率向かいの席は五分の三明日はウエッジソールにしよう   有田里絵(3)

山鳩の声途絶えたる真昼間の汝が足音にも籠もりたる熱   日向寺みづほ(3)

仰向けばもうもどれないだんご虫ゆうやけ色に足さき染めて   やや(1)

両腕を縛るよううに抱き締めて爪先と顎でキスをあげるよ   鷲家正晃(0)

ワインカラーのパンストが重い足のままいるほかはなく 会議室  晴れ  棉くみこ(1)

 十谷作品は今回も人気。一首目は一語も無駄な語彙がなく、「ピアニシモ」から広がる連想も美しい歌。二首目については、歌のリズムが情景と合っているかどうか賛否両論となった。雨宮作品、的確な表現で情景がすぐに浮かぶ。有田作品は「素足率」の表現が面白く、また今年の流行を取り入れた明るい歌。日向寺作品からはこの時期の暑さが伝わってくる。鷲家作品、「ようう」は単純な間違い? と思った人が多く、無点に終わる。棉作品、独特の表現を解釈しかねた人もいたが、どうしようもないけだるさを感じませんか?

■自由詠より

(5点歌)
ひだまりにひらくてのひらくるぶしをくすぐる風は恋人に似て   日向寺みづほ

 ひらがな表記や同じ音の繰り返しが効果的な歌。「ひらひら」「くるくる」といったオノマトペも隠されている? 「くるぶし」が初々しく、また夏に向かう感じも出ている。

ザルカウィ殺害の報に拍手するテロに歓喜を非難せし民   雨宮司(0)

式典で起立せぬ人サッカーの君が代ならば自然に歌う   有田里絵(2)

ああそれが答えであった 水田に映るまったいらな空の青   笹井宏之(3)

生きてゆく 返しきれないたくさんの恩をかばんにつめて きちんと
   笹井宏之(2)

五月闇こそいのちはぐくむ闇ならめ土に樹木の種はあまねし   十谷あとり(2)

持ち物に名前書くようにカレンダー彼と私の誕生日書く   鷲家正晃(1)

放射状に夏のひかりを散らしては蜘蛛の巣揺れる深き側溝   棉くみこ(2)

101匹分の1匹わんちゃんが主を引っ張り駆けてくる初夏   棉くみこ(1)

 雨宮作品、出だしのリズムの乱れや後半のもたつきが読みづらいとの意見が多かったが、それでも詠まずにはいられなかった作者の感情が伝わってくる。有田作品は諷刺の歌の解釈が複数名から。しかし「no music,no life」の作者曰く素直な連帯感を詠みたかったとのこと。笹井作品、1首目はやや自己陶酔の感もあるが、歌い出しや水田に青空を見つける詩情が評価された。2首目を選ばなかった参加者からは具体性のなさを指摘する声が。十谷作品は宇宙のはじまりさえ想起させる神秘的な印象。鷲家作品、助詞に工夫をとの指摘もあったが、二人の関係の確かさが感じられる歌。棉作品、1首目の情景を切り取ってくる視点が評価された。2首目の上句はなかなかユニーク。

 関西歌会はかばん関西ML参加者なら誰でも参加できるオープンな歌会です。特にオンライン歌会は参加者の居住地や都合に関係なく開くことができ、歌会という場が毎月成立することに感謝感謝のこの頃です。興味を持たれた方は是非お問い合わせください。(日向寺 記)
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by kaban-west | 2006-06-30 11:34 | 歌会報告