かばん関西歌会

kabanwest.exblog.jp
ブログトップ

<   2006年 09月 ( 1 )   > この月の画像一覧


2006年 09月 23日

2006年9月歌会

かばん関西九月歌会 歌会記

九月二十三日、奈良県文化会館にて、かばん関西九月歌会が催されました。参加者(敬称略)は、有田里絵、雨宮司、笹井宏之(購読会員/オンライン参加)、山下りん(ゲスト/オンライン参加)、棉くみこ、十谷あとり(日月・玲瓏)の六名。兼題自由題に三十二首、歌会当日の吟行詠二十六首、合計五十八首の作品が集まり、もりだくさんの歌会となりました。作品の一部をご紹介しながら、当日の模様を報告いたします。

       *

《兼題の部》  今回の兼題は「庭・ベランダ」。

・ほしのふるおとを録音しました、と庭師がもってくるフロッピー  笹井宏之

・借景の庭この秋は大輪の菊の咲くらし支柱の増えて    山下りん

・引っ越しをするたび増える俺の庭またふるさとは少し遠のく  有田里絵            

・あさがおの咲き残る庭あかるくて9月の空に並べたいもの  棉くみこ

 一首目、上質なファンタジーの世界。二首目、庭を丁寧に観察しているところがよい。三首目、「俺の庭」がハンサムな表現。四首目、「並べたい」すてきなものが歌の外にひろがっているように感じられる。

《自由詠の部》

・読みさしの本に真夏を挟み込み書棚のすこし奥にしまった  笹井宏之

・白い棚捨てて目覚めてゆく身体必然として空よりも晴れ   有田里絵

・イタリアンパセリを噛んだ不意打ちをこぼせる人なく広がる独り  山下りん

一首目、夏の終わりを感じさせる。二首目、行動から身体感覚への飛躍が面白い。三首目、「イタリアンパセリ」という素材が効果的。

《吟行の部》  歌会に先立ち、会場近くの世界遺産「元興寺」とその周辺を散策し、吟行を行った。

・何もないところ何度も指さして子は我よりも上を見ている  有田里絵

・緑濃き池に波紋が小【ち】さく立つ亀から逃げたいメダカであるか   雨宮司

・采女まつりの案内板に描かれたる月二つあり空と水面に   棉くみこ

・萩の株は凍結したる噴水だ赤・白・緑にかすかにしだれ   雨宮司

・教わらず今日咲いている彼岸花その確かさを君と見ており  有田里絵

・かみさまの折る折り紙にあやまちの折り目はあらずききやうむらさき  十谷あとり

・蜻蛉舞う下町の寺の真昼間はただ抹香の香ぞ漂える     雨宮司

 元興寺では、萩はまだ見ごろを迎えていなかったものの、桔梗や紅白の彼岸花が、石塔石仏に寄り添うように咲いているところを鑑賞することができた。

       *

忙しさに流されがちな日常生活の中に、「歌会」という「短歌について話し合える場」を持てることが、どれほどうれしいことか、再認識した一日でした。「歌会ってどんなことするの?」と思われる方、オンラインでも、オフラインでも参加できますので、ぜひどうぞ覗きにいらして下さい。(十谷あとり)
[PR]

by kaban-west | 2006-09-23 15:46 | 歌会報告