「ほっ」と。キャンペーン

<   2006年 12月 ( 1 )   > この月の画像一覧


2006年 12月 17日

2006年12月歌会

■ かばん関西歌会 二〇〇六年十二月歌会 報告記 ■                  

一二月十六日(土)、奈良県文化会館にて、かばん関西十二月歌会を行いました。
【参加者】雨宮司、有田里絵、大澤美枝子、笹井宏之(未来・かばん購読)、十谷あとり(日月・玲瓏)、山下りん(ゲスト)、棉くみこ
【歌会出席者】雨宮司、有田里絵、十谷あとり

       *

今回は兼題/自由詠合わせて三十四首の作品が寄せられた。兼題は棉さん出題の「運ぶ」。素直に「運ぶ」という行為を詠み込んだ歌が多かった。

◇兼題「運ぶ」より

・あたたかき言葉の温み運びゆかん吾子を抱きつつ手繰る歌々  山下りん

表現としては、「あたたかき」と「温み」の重なりを整理するべきか、歌を「手繰る」という表現は受け入れられるのかなどの意見は出たが、母親の愛情がまっすぐに伝わってきた。

・公園のポプラの枯葉わが庭の静かなゲスト集まり来たりて  大澤美枝子

公園から飛来する大量の落ち葉を、迷惑と言わず「静かなゲスト」と受け止めるこころから歌が生まれた。「わが庭の」ではなく「わが庭に」ではどうでしょう?との有田さんの鋭い意見が。助詞の大切さを再認識した。

・幸せを運ぶ鳥さえひきこもる自力で餌を摂れぬと知れば  雨宮司

「幸せを運ぶ鳥」とは何か?で読みが紛糾した。メーテルリンクの青い鳥なのか?ニート・ひきこもりといった社会問題の喩なのか?作者によると答えは「試験放鳥されたコウノトリです」。読みは難しい。笹井さんから「摂れぬ」の記は「捕れぬ」ではないか、との意見も。

・燃えるゴミをポインセチアを八角を運ぶてのひらに光生まれよ  棉くみこ

三つのものの組み合わせが絶妙、と読み手の意見が一致した。日常生活の中に生きる喜びを見いだし、それをリズムよく歌っている。

・歩みゐる鳩のせはしき足の運び疾くなりまさりつひに飛びたつ  十谷あとり

 ◇自由詠より

・枯草は朽ちるのでなく黄金色のかげをはなちて還りゆくらし  有田里絵

衰えたものの中に美を発見する視点がよい。「枯草」と「朽ちる」は意味が重複していないか、全体に文語調に整えてもよいのではないかという意見も。

・冬空のたったひとりの理解者として雨傘をたたむ老人  笹井宏之

「冬空」と「老人」の取り合わせに無理がなく、作者の構築した景が読み手の視覚にうまく訴えてくる。孤独感と、意志の強さが同時に伝わる歌。

       *

全体を通して、「ことばの表記(ひらがな/漢字)は、パソコンなどの変換に頼らず、主体的に、丁寧に選んでいくべきではないか」「どうしても(こう読んでほしい)という漢字を使うのなら、ルビを振る方が親切なのではないか」などの意見がありました。

票が入っても入らなくても、歌に対する読み/批評をいただけるのが、かばん関西メーリングリスト歌会のよいところ。また、作品に対して、つい辛口の注文をつけてしまうのは、一首の歌と向かい合う時の期待感のあらわれでもあります。これからも、歌を詠むこと/読むことをみんなで楽しんでいきたいと思います。二〇〇七年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。(十谷あとり)
[PR]

by kaban-west | 2006-12-17 12:54 | 歌会報告