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2008年 12月 12日

11月歌会報告

〈かばん関西十一月歌会 歌会記〉

[参加者]天昵聰、雨宮司、有田里絵、笹井宏之(購読/未来)、十谷あとり(日月/玲瓏)、蔦きうい(玲瓏)、福田貢一(北摂短歌の会)、山田航

今回は八人の参加者から、合計三十一首の作品が寄せられました。

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〇兼題「プラスチック」

コンタクトレンズ、眼鏡、弁当の蓋、バケツ、コップなど、たくさんのプラスチック製品が登場しました。印象に残った歌を紹介します。

・浴室の青洗面器がスカランと湯船の蓋から滑り落ちてく  雨宮司

・火から火がうまれるときの静かさであなたにわたす小さなコップ  笹井宏之

・海水をカニバケツへと入れて立つ取っ手の脇の罅が拡がる  雨宮司

・まだ空はまだらに青く君に貸すCDケースに挿んだ手紙  山田航

・「あの夫婦きっと仮面と思うんだ。だって洗濯カゴが紫」  天昵聰

・ソノシートのにおいが紅しひとり病む雨の午後にも秋あふれだす  蔦きうい

〇自由詠

 久し振りに福田さんが参加して下さいました。

・来年に四十才になる中年のわれは悩みぬ青春のごとくに  福田貢一

・牛乳を自分のために使いきる二年の一人暮らし終はんぬ  有田里絵

・オレンジを焚く香炉から頻々と天使がのぼる朝のヘッセは  蔦きうい

・スマイルのバッヂとともに匿すのは嘘、ラムネ玉、銀のエンゼル  十谷あとり

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有田さんご提案の兼題「プラスチック」は、身近なものを歌の対象として見つめ直すよいきっかけとなりました。現在の自分を真っ正面から見つめる歌から、幻想的な歌、また時事的モチーフを扱う歌まで、作風はさまざま。自由に、それぞれの目指す歌に向かって、試行錯誤を続けています。作者から差し出される一首の存在を尊重しつつ、忌憚なく意見を出しあい、じっくり読み返せるところが、メーリングリスト歌会のよいところ。選評が終わった後も、感想の交換が続き、よい刺激と、歌う元気をいただきました。(十谷あとり)
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by kaban-west | 2008-12-12 16:58 | 歌会報告