かばん関西歌会

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2009年 12月 03日

11月歌会報告

かばん関西十一月歌会記

【参加者】安部暢哉、雨宮司、有田里絵、十谷あとり(日月/玲瓏)、蔦きうい(玲瓏/選歌のみ)、渡口航(短歌人)、法橋ひらく、三澤達世、山田航

今回の兼題は「動詞:かける」。自由度が高いからこそ悩ましいお題と、みなさんがっぷり取り組まれました。選歌のコメントも、それはそれは熱かったです。兼題、自由詠ともに十二首ずつ集まりました。兼題の歌に★、自由詠の歌に☆印です。

★よく晴れてなんにもない日無理にでも出かけなければもう角砂糖 法橋ひらく

「角砂糖」がよくわからないけど、気になるイメージ。解釈が全員みごとにばらけていました。一番議論が紛糾した一首。高得点歌でした。

★始発前のプラットフォームに腰かけて外角低めの満月を見る 山田航

世界観がかっこいい一首。「外角低め」について、沈み際の満月は低くなっているので言いえて妙だ、という意見と、既視感があるという意見に分かれました。

★天翔るざぶとん禁止これよりはまぼろしとしてわが目に住ます 渡口航

「天翔るざぶとん」の個性的なイメージに評価があつまりました。座蒲団が天を翔るのは大相撲か、三遊亭円楽への追悼か。国技館の座布団が固定されてさびしい、とも。

★サボテンは水遣り辛めが相場だが如雨露でじゃぼじゃぼかけてる子ども 雨宮司

☆看護士のこの人も母お互いに子のために打つ青いワクチン 有田里絵

どちらも子どもの歌でした。一首目、J音の連なりが楽しい歌です。二首目は、予防接種の歌。切実さを汲み取った人と、そうでない人に二分されました。子育ての歌、介護詠などは経験のありなしで共感度が違ってきます。体験していない人に対しても、説得力のある歌にしていかないといけない。そこがむずかしい、という指摘がありました。

☆我【わが】生【せい】の最高なる時は何時の時過ぎしか今かこれより来るか 安部暢哉

歳を重ねることに対する焦燥感。下句のせわしなくユーモラスな感じが、奥村晃作を思い出します。「最高なる時」は、今と、これからと、両方だと思います、というエールも。

☆柊の花ほそほそと蘂こぼしつつ初冬【はつふゆ】の日のかげを養ふ 十谷あとり

「養ふ」とよむ感性と、情景描写の抒情に評価が集まりました。佳品をしみじみと読む喜びを感じた方が多かったようです。最高得点歌。同じ作者で「危ふくも清しきひかり工具箱に立てかけられて曇りなき鋸」(★)、シンプルで美しい描写。

★ゆっくりと時間をかけて濾過されたような光が凝る雄蕊に 三澤達世

「ゆっくりと」は刈りこめる、また隠喩でもいいかも、というご指摘をいただきました。

はじめて関西歌会記を書かせていただきました。皆様の歌とコメントに、再度じっくり向き合うことができて、楽しい作業でした。(三澤達世 記)
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by kaban-west | 2009-12-03 00:04 | 歌会報告