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2010年 01月 24日

笹井宏之さんへ

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一年があっと言う間なのかまだ一日しか経っていないのかと思い出すたび不思議な感覚です

哀しいや淋しいいうのんそっと抱きさらうてしまはる盗人でした   山下りん

*

いまは遠い人が、このMLで声をかけて下さったこと、忘れません。
ファンになったばかりだったのに、会う事もできず行ってしまわれました。
遅くなりましたが・・・

[ささ]やかなしあはせ[い]つか[ひろ]ふだらうあの日の[雪]の清らにも似て   文屋亮

*

さくらさくらいつもやさしきひとさらひ路地の夕べの風と消えたり   十谷あとり
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by kaban-west | 2010-01-24 17:48 | 祈りのうた
2010年 01月 05日

12月歌会報告

かばん関西十二月歌会記

【参加者】雨宮司、有田里絵、十谷あとり(日月/玲瓏)、瀬波麻人(購読)、蔦きうい(玲瓏/選歌のみ)、渡口航(短歌人)、三澤達世、山下りん(ゲスト)、山田航

今回の兼題は「輝く」。年末のせわしない時期にもかかわらず、兼題十四首、自由詠十二首が集まりました。兼題の歌に★、自由詠の歌に☆印です。

★とりかへしのつかぬ折り目の幾百を銀紙に残しをさなは眠る 十谷あとり

銀紙での折り紙をたくさん失敗した子どもが、コロッと眠ってしまったのでしょう。身に覚えのある光景かもしれません。「とりかへしのつかぬ折り目」と「をさなは眠る」静謐との乖離。また「残し」も効いています。日常の小さな光景を丁寧にすくった一首です。最高得点歌。

★きらきらと角度をかえてきらめいてきらめくあなたの言葉が軽い 瀬波麻人

繰り返される「きら」の果てに、絶望の灯台のようにともっている「あなたの言葉が軽い」が、傷ましい。また、ちょっと皮肉もきいていて、それでいてその軽さも愛でているような下句が秀逸。「あなた」は、作者の手のひらの上にいるのかもしれない。片思いかな、という読みもありました。

★イミテーションパールで充分きれいだと言われた頃に会えていたなら 有田里絵

「会えていたなら」の相手は片思いの人なのでしょうか。パールがイミテーションであれ、素顔で勝負できていた、すなわち若い頃をつい考えてしまう。若くても年とっても合う人なら合う、今これからきれいになればよい!という叱咤激励も。

★輝きの失せた真珠を握りしめ御木本幸吉の馬鹿野郎! 雨宮司

御木本幸吉なる人物を初めて知った、という意見も。ミキモトの創業者ですね。変化したのは真珠そのものではなくて、真珠を贈ってくれたひとの心ではないでしょうか。御木本幸吉さんは、完全に八つ当たりで、その怒りの矛先の飛び具合がおもしろい。「御木本幸吉大馬鹿野郎!」もいいかな、という意見も。

★ひとつひとつ違う思いと輝きとホーリーナイトに頼る家々 山下りん

「頼る」に議論が集まりました。子どもが大人になるにつれて、家に寄り付かなくなるのはあたりまえですが、それでも形式的に催されるホーリーナイト。また、家族という関係に流れる不安。ちょっと侘しくて笑える家族の肖像を描いた一首。自由詠では、分かち書きの意欲作を出詠されました。

☆うっとりと熟れゆくように発熱のひたいにめくる初恋の書 渡口航

発熱で寝込むつれづれに、仰向けでめくる初恋の本。「熟れゆく」がいい。発熱のけだるさがよく出ています。また、恋と熱のイメージの連なり。「ひたいにめくる」は評価が分かれました。同じ作者で「冬に見る夢はいつもかなしくて目が覚めるたびいない人がいる(☆)」どちらも高得点歌。

☆3ポイントシュートが決まるあざやかに月のまはりを縁取るやうな 山田航

放たれたシュートがリングにかすりもせずに、スパッと決まった情景。「月のまわりを縁取るような」のは、シュートの瞬間のネットの形か、ボールの軌道か。「あざやかに」はなくても伝わるかもしれない、とも。肉体の動きを言葉に翻訳していくのが難しいスポーツを、クリアに詠んだ一首。

★原色のスーパーボールがくるくるりずっと縁日子らの湯船は 三澤達世

子供のいる日常の光景として、わが身に引き付けて読んだ方。また、特別さがない、とも。原色はちょっと固いかもしれない。カラフルな湯船から、いつまでも上がってこない子どもたちを詠んだ一首でした。

兼題に対しては「難しい」という声が多いなか、きらきらと気合の入ったコメントが多数寄せられました。一年の最後を締めくくる充実した歌会になりました。(三澤達世 記)
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by kaban-west | 2010-01-05 09:48 | 歌会報告