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2010年 08月 06日

7月歌会報告

「かばん関西七月歌会記」

<参加者> 雨宮司、あまねそう、有田里絵、岩本久美(ゲスト)、十谷あとり(日月/玲瓏)、杉野裕子、三澤達世

今月のお題は「黒」にしました。暑苦しそうで申し訳ありません。
しかし夏でも黒い服の人はたくさんいますし、この季節ならではの黒もあるはず。
初参加の杉野さん、ちょっとお久しぶりのあまねさんも来て下さり、広がりのある歌会になりました。兼題の部からお一人ずつ作品を紹介します。


☆街を抜け木下闇【このしたやみ】に歩み入るひたひたひたと昏き足音   雨宮司

自分自身の足音なのだろうけれど、実は違うのかも。カメラアングルのような動きと擬音で聴覚を刺激される歌。酷暑の時期に短歌で少しでもひんやりできたらいいですね。

☆マツキヨに黒髪戻し買い求むきみを知らない頃に戻ろう  有田里絵

店名が歌のカジュアル感に寄与している。髪だけでは本当は何も変わらないのだけれど、やっておこう、という気持ち。

☆白に黒いステッチの効いたポロシャツでホットドッグを買うためだけに   岩本久美

一読、おしゃれな夏アイテムの歌。カタカナの名詞を軽やかに受け止める人と、アイテムにより過ぎではという意見があった。

☆ブラックで眠気をさます始業前 ひとときであり つかの間であり  あまねそう

つい、コーヒーのボスブラックを想像。後半の内容が重複しているが、一字空けもそれぞれにあるので、この表現には意図があるのではという声があった。

☆上本町天地書房の棚たかく大黒天は埃をかづく    十谷あとり

高得点歌。実在の店名のなんと効果的なこと。字面を眺めるだけでも面白く、つい惹かれてしまう。
大黒天にもユーモアがある。ダークではなく乾いた雰囲気に高評価が寄せられた。

☆ バランスの悪い体躯の黒い犬路地を巡って雨を配れり    三澤達世

これも高得点歌。結句に好印象を持つ人が多数。犬の描写が不気味さとユーモアを同時に感じさせる。黒犬だからこそ成功した歌であるという点は皆が納得できるところ。あつ~い午後でもこんな犬が玄関先に雨を届けてくれたら、涼しくなれそうです。

☆お日さまを黒く描きし子に初夏のひかりを曳きて花嫁が来る  杉野裕子

今月の最高得点歌。黒というお題から白を扱う歌も出てくると予想していました。この歌は、黒を、びっくりさせられたけれど今は懐かしいものとして描き、ウェディングドレスの白にまで読み手をしっかり連れて行ってくれます。おめでとうございます、お幸せに、と素直に言いたくなります。

お祝いにもう一首ご紹介しておきます。

☆泣き黒子が不幸を呼ぶとゆふ説話つぶやくように雨降りやまず   杉野裕子

さて、歌会記をお読みの皆さん。皆さんならどんな黒を詠みますか?
私はシマウマやモノクロ写真を詠もうとしましたが未達成です。
個人的にも引き続き取り組みたいお題になりました。

終わりに、自由詠から高得点歌をいくつかご紹介します。

☆ 晴れわたる谷川岳を前にして子は蟻の巣を棒でつつけり  三澤達世

☆ 雨の畑にグラジオラスのくれなゐのふたもと切りて戻るひとあり  十谷あとり

この原稿が掲載されるのは九月ですね。残暑に負けない体にしておきます。(有田里絵/記)
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by kaban-west | 2010-08-06 08:50 | 歌会報告