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2015年 06月 09日

五月難波歌会記

かばん関西 五月難波歌会記
日時・・・二〇一五年五月二十三日(土曜日) 午後一時から五時まで
場所・・・大阪市立難波市民学習センター 第一会議室

<参加者> 雨宮司、有岡真里(ゲスト)、有田里絵、岩井曜、泳二(ゲスト)、黒路よしひろ(ゲスト)、佐藤元紀、十谷あとり(日月)、杉田抱僕(ゲスト)、蔦きうい(玲瓏)、とみいえひろこ、ぱん子(ゲスト)、浜田えみな(購読)、福島直広
<詠草のみ参加者>新井蜜(かばん・塔)、橘さやか(ゲスト)、ふらみらり、兵站戦線(かばん・塔)

今回は、事前に自由詠を一人一首募集しました。当日くじ引きで決定したお二人に、歌会体験記を書いていただきました。


●かばん関西オフ会de難波  有岡真里

 五月二十三日土曜日。
 大阪は難波にて、かばん関西オフライン歌会が、開催されました。かばん関西。そう、そこは、かばんを始め、結社、同人、所属無所属、ネット、新聞投稿一切関係ない、ただひたすら短歌が好き!好きなの!大好き!と、いう歌人【うたびと】の集いなのです。たくさんのお菓子をつまみながら、和気あいあいと、しかし夏が近づいてるせいか、熱く熱く、一首を鑑賞し、読み解き、時に想像を膨らませ、時に妄想を暴走させ、感性と肉声をぶつけ合う場所。小さな会議室は、さながら密林のようになり、年齢も性別も関係なく、短歌を語り合うのでした。
 また、今回詠草のみ参加の方、会場に実際集まった方、どちらにも自註があり、中には解説中に、同性との甘いときめき体験のカミングアウトや、日々の暮らしの中での心身の疲労を、切切と歌にした経緯や、なんども歌に登場する女性との関係に突っ込んで聴いたり、今は小学校の給食は、先割れスプーンではないなどの、衝撃的真実を知るなどして、更に歌の詠み方に、そして、読み方に深く寄り添えた気がしました。今後、遠くにいながら歌会に参加出来るという、オンラインならではの特性と、オフライン歌会でしか、味わえないダイレクトな意見交換の融合が、なんらかの形で、実現出来たら、こんな素敵なことはないでしょう。ちなみに、得点は、かばん関西メーリングリストに詳しく記載されていますので、ご興味のある方はこの機会に、是非一度、のぞいてみませんか?


●歌会はビュッフェ  浜田えみな

初めて歌会に参加しました。

配付された無記名の詠草集は、見たことも食べたこともない料理のようです。

まず全体を眺め、お皿を手にとり、香りをかぎ、口にいれ、咀嚼し、味わい、素材や料理法を分析しつつ、好きなものを選び、どんなふうにおいしいかということを、誰にでもわかるように短い時間でまとめて言葉で伝える! という〈神業的なこと〉が、どんどん続くのです。先輩がたの胸を打たれる歌評。指名されて、しどろもどろになる自分。その繰り返しの中で、「詠むこと」と「読むこと」について、幾つものスイッチが押されていきました。

帰宅し、さっそくMLの発言を読み返したり、「かばん」をめくっていくと、不思議不思議! 歌会でお会いした方々のお名前や歌や発言は、文字が3Dになり、声が聴こえてくるのです。嬉しくて、おもしろくて、楽しくて、気がつけば、バックナンバーを、どんどんめくっていました。

 そして、一番の大きなギフトは、自分の歌がどんなふうに味わってもらえるかを、リアルタイムに目と耳で感じられることです。次のレシピにつながっていく体験です。

詠草が小皿のお料理なら、歌会はビュッフェ。

いろんな味があり、スタイルがあり、歓談し、味わい、お代わりして、お持ち帰りできます。いただいた詠草集は、時と場所を変えると、別の味わいが醸し出されます。ありがとうございました。


★詠草一覧(掲載希望者のみ)
手渡されティッシュのように受け取ったあなたの気持ちもう返せない  橘さやか
すべり台すべり終えれば時と砂 わたしのうちに速さ籠れり   とみいえひろこ
折からの雨の乱舞にぞくとして君の声音【こわね】の静かに入り来【く】 兵站戦線
へらへらと歩道橋からぶちまけたカラー広告踏みしだかれる       雨宮司
曇天にヘリコプターの音がして馬蹄な想ひ運びつつあり         新井蜜
梅雨近き緑に息の詰まりつつ言葉に疲れ果てて日の暮れ        佐藤元紀
マッケンローがボルグと荷ケツで湖へなかぞらそよぐ甘いためらい   蔦きうい
弱くても君は守れるものがある豆腐くずさずつかめるちから   有田里絵
たらちねの遺しし種を夫と植ゑ育てつづける君影草を         有岡真里
梅壷で塩をかぶった青い実の曼荼羅にさえ問いかけている       浜田えみな
白シャツを透かす光を浴びてまた目覚めろ、私の夏の細胞        岩井曜
そのむかし私がはなった歌声を取り返したい取り返したい      ふらみらり
あの夏を冒険しよう――すれ違うトトロはきっともう見えないね    杉田抱僕
二丁目に立つ灰色の鉄塔を子らは東京タワーと呼べり           泳二
夏かげは空木の路地に 投げられて取り落とさるるバトン、少女に  十谷あとり  
駅裏の月の届かぬ公園に軋むブランコ膝にのる猫           福島直広
自意識を過剰なまでに尖らせて少年は故郷を憎んだ        黒路よしひろ
 
以上
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by kaban-west | 2015-06-09 00:04 | 歌会報告