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2015年 08月 07日

7月歌会報告

◆◇◆ かばん関西七月オンライン歌会記 ◆◇◆

<参加者> 雨宮司、新井蜜(かばん・塔)、有岡真里(ゲスト)、有田里絵、岩崎陸(購読)、泳二(ゲスト)、小野田光、ガク(ゲスト)、黒路よしひろ(ゲスト)、佐藤元紀、杉田抱僕(ゲスト)、十谷あとり(日月)、橘さやか(ゲスト)、蔦きうい(玲瓏)、土井礼一郎、とみいえひろこ、浜田えみな(購読)、ぱん子(ゲスト)、福島直広、ふらみらり、兵站戦線(かばん・塔)、文屋亮(玲瓏)、山下りん(ゲスト)

黒路歌会進行役から「黒路さんへの恋歌」という、職権乱用…じゃない、斬新で、楽しいお題が出されました。参加者の黒路さんへの想いや如何に。

好きなふり見せたばかりに黒犬につきまとわれるソックスな僕 橘さやか

「ソックスな僕」が 効いている。「僕はボクっ娘ならソックスよりも学校の上履きが似合うと思うんだけど…ああ、上履き履いたボクっ娘に踏まれたいなあ。」黒路氏談。

よし野にてひろひし仔犬鞭打てばもつともつとと擦り寄りてくる 新井蜜

「擦り寄りてくる」がいじらしすぎる。「『よしひろ』の名を分解して詠み込んだ上の句が面白い。この仔犬は黒路さんをイメージしてのものなのだけれど、『もつともつとと』の表現がなんとも可愛くて素敵です。」黒路氏談。

ずぶぬれになりても今は山川の滾つこころに茅の輪潜らせ 兵站戦線

茅の輪くぐりというモチーフに、真摯な想いが伝わる。「黒路さんへの恋の涙に『ずぶぬれ』になる様と、恋ごころの『滾つ』激しさを山川の様に譬えて素敵な一首。」黒路氏談。

沓脱によしひろの沓傘たてによしひろの傘 戦争遥か 蔦きうい

あるべき処にあるべき物があって、それが平和。「おそらくは女性の家…どこか学生運動的な危険な香りもして、その怠惰な雰囲気に惹きつけられる。」黒路氏談。

嘘をつく君が好きだよ 隠してることがほんとの真実だから 岩崎陸

矛盾したロジックが恋の深刻さを表している。「隠している真実…それはたぶん、黒路さんの人間としての一番弱い部分なんだと思う。そんな弱い部分を隠さずに見せられる女性に、いつか出会えるものでしょうか。」黒路氏談。

燃やしましょうあなたとずっと共にいるこの部屋以外の存在を今 雨宮 司

これくらい情熱的な人の方がいいのか。「自分たち以外のすべてを排除しようとする狂気は恋の究極なのかも知れない。そう思う一方ですべて燃やされても困るなあ~と思う冷静な黒路さんも居たりする。」黒路氏談。

羽根があれば、と万葉人も詠んだでせう やさしいあなたは西国の人 文屋亮

「山上憶良ですね。正確には『翼があれば』」雨宮氏談。「『やさしいあなた』の表現に世辞っぽいものや、誰に対してでも贈れる歌のようなものを感じながらも、こう詠われて悪い気はしない黒路さん。」黒路氏談。


はすのはなちるひとひらのしづむまでゆきませうひるのひぢのみなもを 十谷あとり

すべて開いたところに、相手へのやさしい心が表れている「『ひぢ』は『秘事(ひめごと)』のことだろうか。『蓮の花』が散って沈むとはなんだか不吉な気もするが、共にあの世までもとの思いが感じられて素敵な恋歌のように思う。」黒路氏談。


万葉の言の葉たどる明日香路の花の名前を君は教えむ 浜田えみな

「黒路さん花の名前とか知ってんのかなあ。」福島氏談。「未来を想像して詠んだ一首なのだろう。一緒に明日香路をデートしましょうとのお誘いな訳だが、ただ、残念ながら僕は花の名前をまったく知らないので、人に教えることは出来ないかも。」黒路氏談。

ぬばたまのポメラ携え君はまた道なき道を照らして歩く 泳二

ポメラニアンかと思ったら。「『ポメラ』とはキングジム社が開発した乾電池駆動の携帯ワープロのような文章入力マシンなのだ。うん、『道なき道』が『わが道を行く』みたいでなんとも自分勝手な黒路さんらしくって素敵です。」黒路氏談。


はにかまずとも赤い頬をまもりたくプラネタリウムに祈るいのるよ ぱん子

黒路氏の「リンゴ病」を「赤い頬=庇護される幼き者」として詠み込んだ反射神経が見事。「『まもりたく』に年甲斐もなく黒路さんはキュンとしてしまいました。ああ、ほんと、女の人にまもってもらいたいなあ。って、男としてあかんやろそれでは。」黒路氏談。

破りたいのに破れない液晶に浮かぶ微笑をデリートしない 小野田光

「おそらくこの作者はパソコンの液晶に黒路さんが微笑する写真をいつも表示しているのだ。そして毎晩、黒路さんにお休みのキスをしてからパソコンを閉じて眠るのだ。って、なんだか自分で書いていて恥ずかしくなってきたのでこの辺で止めときます。」黒路氏談。

『あなたから愛してくれれば愛します』初恋未満の私の宣誓 杉田抱僕

自分を守る気持ちが先に立っている感じがリアル。みんな、愛したくないけど、愛されたい。「わおっ、僕も愛してくれたら愛しますよ~~って、二人ともそんなこと言ってたらいつまで経っても恋に発展しませんがな。」黒路氏談。

眠くなるほど君が好き 道玄坂下りればそこが渋谷だったね 土井礼一郎

「地名の入った歌はその地への想像が広がっていいですね。上の句はなぜ好きになると眠くなるのかよくわからないけれど、それが個性と言えば個性のようにも感じられて面白い恋歌のように思います。」黒路氏談。

空想の路地に逃げても見えてるよちゃんと見つめて よしひろのバカ 福島直広

「バカ」に愛情がこめられている。最高至高の告白用語。「空想の路地だが妄想の路地だかは知らないけれど、隠れている黒路さんをも見つけてしまう恋のセンサーが素敵な一首。」黒路氏談。

恋知らぬ人うらやまし心臓を押しつぶされることもなければ ふらみらり

「恋知らぬ人を『うらやまし』と言いながら、作者はそんな心臓の押しつぶされそうな恋をしている自分を幸せに思っているのだ。ああ、こんなにも女性を苦しめる黒路さんて罪な男やなあ。」黒路氏談。

うつむける笑顔の翳の奥深くにほふ君こそゆかしかりけれ 佐藤元紀

黒路さんのシャイな部分がよく出てる。「『ゆかし』は気品、情緒などがあってどことなく心引かれる様。そんな、まさに黒路さんへの恋心をそのまま詠った素敵な一首だ。と、冗談でも自分で書くと恥ずかしいなあ…」黒路氏談。

黒鍵の半音あがるキー探し未知の声色かき鳴らす君 山下りん

「『半音あがる』や『未知の音色』、『かき鳴らす』などの何気ない言葉の連なりがどことなくエロスっぽくて素敵だ。ああ、僕もいつかほんとに君という名の楽器の黒鍵をかき鳴らしてみたいものです。」黒路氏談。

暗き路たどれば届く我が思いひとよばかりの月にはあらじ ガク

余裕と切実がごっちゃになっている感じ。「『ひとよ』は『一夜』と『一世』の両方の意味か。一時の恋心ではなくずっと思い続けてきた恋の切なさを表現しているのだろう。そんな黒路さんへの一途な恋の思いが月夜の暗き路を通して素敵に詠われている。」黒路氏談。

ぬばたまの「黒路さま」とわが背子の名を幾たびも呟ゐて恋ふ 黒路よしひろ

「どストレートの恋歌オブ恋歌というところですね。」泳二氏談「『わが背子』はちょっとくどいです。ともかく黒路さんが喜びそうですね。で、喜んで終わる。」有田氏談。

「弘子」って呼んでくれてもいいけれど下の句をくれるように、だったら とみいえひろこ

「自身の名を呼ぶ相手の声を『下の句をくれるように』と表現した感性が素敵に思います。たしかに下の名前を呼び捨てって、やはりちょっと特別な感じがしていいですよね。あと、短歌に自分の名前を入れてくるこの自己主張の強さも素敵。」黒路氏談。

黒ならばもてる時代は終わったとから騒ぎして女は眠る 有田里絵

「歌としては面白くて素敵なんですけど、どこらへんが恋歌なのかがちょっと分からなくて判断に困ってしまった。まあ、ほんとに困ったのは今回のお題を出されたみなさまのほうだったとは思うけどね。」黒路氏談。「あはは、ふられてやんの!黒路時代の終焉だなー。」蔦氏談。

と、こんな風に、他では味わえないエキセントリックな歌会が、繰り広げられる、かばん関西ML。皆様も一度、しびれてみませんか。って、今回のお題、まとめづらいわっ!

有岡真里/記
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by kaban-west | 2015-08-07 21:19 | 歌会報告