かばん関西歌会

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2018年 03月 18日

2月歌会記

かばん関西二月オンライン歌会報告

◇参加者 (敬称略)◇ 雨宮司、 新井蜜(塔)、 有田里絵、 戎居莉恵、 小川ちとせ、 佐藤元紀、 雀來豆(未来)、 十谷あとり(日月、選歌・コメントのみ) 、 蔦きうい(玲瓏) 、 とみいえひろこ、ふらみらり、 本田葵(かばん/塔)◇以上十二名(所属無表記はかばん正会員)
月例通り、兼題の部・自由詠の部の二本立てで行いました。

◆[兼題の部]今回の題は[箱]。雀來豆さんの出題です。左記の十一首が集まりました。

・箱根猫は小箱の上に寝転びて小春日和を琥珀のように  本田葵
・紙パックさえも勝手に喋りだす「たたんでくれてありがとう」って  有田里絵
・踊り子をひとり閉じこめわたくしの小箱は子宮の静けさである  小川ちとせ
・そばだつる枕も空行月【そらゆくつき】さへも遠く眠れる我がワンルーム  佐藤元紀
・リンゴ箱かさね作つた本棚の奥から『卍』取り出して読む  新井蜜
・箱詰の菓子を携え謝罪へと赴く社長苦労は絶えぬ  雨宮司
・キッチンのテーブル高く静寂【しじま】してhi-liteの青き箱ひとつ  とみいえひろこ
・ああこんな夢を見たって一番に(開けても開けても箱がある)話したいけどベッドにはもう  雀來豆
・この箱は奴隷船かも呼吸さえ危うい僕ら職場へ運ぶ  戎居莉恵
・家中の空き箱全部つぶしますこれで退路を断った気分に  ふらみらり
・抱かれたら漣がくる踏まれたら漣あげる箱にくるまる  蔦きうい

牛乳パック、リンゴの木箱、菓子折の化粧箱、煙草の箱、空き箱など、さまざまな箱が登場しました。また、中に空間があり、何かを閉じ込めたり包み込んだりする、といった箱の性質を表現に生かした歌も。個人的には本田さんの「箱根猫」(ことばの使い方がやや強引かとは思いつつ、箱根には確かに猫が似合いそう)、蔦さんの「箱にくるまる」(具体的には何のことか分からないけれども妙に生身の人間の存在が感じられる歌、それにしても箱に「くるまる」のはちょっと無理なのでは)の二首が特に印象に残りました。互選では佐藤さんの「ワンルーム」、とみいえさんの「hi-liteの青き箱」に人気が集まりました。
題詠という詠み方は、時に、題をどう処理するか、題からどれだけユニークな発想ができるかという方向に力が入りがちになる気がします。アイディアを披露しあうことも歌会の楽しみのひとつですし、そこに知恵を絞るのもいい。ただ、単なる言葉遊びや大喜利みたいにはなってほしくない。わたしは、当該の歌会が終わった後、題詠という枠が外れても読み応えのあるような歌と出会えたらうれしいですし、自分もそういう歌を書きたいと考えています。

◆[自由詠の部] 同じく十一首が出詠されました。

・箱庭に林檎の皮を降らすひと泣く前の喉を髪に隠して  とみいえひろこ
・哀しみは背戸の山からやつてきて去つてゆかない用が済んでも  新井蜜
・浄福の光は闇へ射すものか冴え月は明け方には黄色い  雨宮司
・あなたにもきっとあるはず最強のバルスの呪文心の中に  本田葵
・写真見せきらめく瞳で僕に聞くだれがいちばんかわいいでしょう  戎居莉恵
・水蛇に驚いたのか水際で(Red Bull 翼をさずける)娘はクロックスを濡らして  雀來豆
・二人して波間の千鳥ならましを高師浜駅ステンドグラス  佐藤元紀
・屋根裏に写真一枚まだ若い義父笑ってる何年間も  ふらみらり
・「ねえ、ほしい」「なにを?」「さびしさ」逍遥とその後のわたしを海はしらない  蔦きうい
・指遊びしながら雪を追いかける声を立てずに消えゆく者ら  有田里絵
・しんしんと二月の水を眠らせて電気ポットは壊れていたり  小川ちとせ

ほぼ毎月定期的に行われているメーリングリストの歌会に加え、年に数回、会議室等会場に集まって歌を読みあう歌会も継続しています。お花見吟行や忘年会も。かばん関西歌会が、少しでも刺激を得られる場でありますよう、また歌を志す仲間たちが和やかに交流できる場であり続けますよう、と願っています。(十谷あとり 記)

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by kaban-west | 2018-03-18 22:27 | 歌会報告


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