かばん関西2006年4月歌会 報告記
【参加者】雨宮司、有田里絵、笹井宏之(購読)、十谷あとり(日月・玲瓏所属)、やや(ゲスト)、棉くみこ
かばん関西MLを利用したオンライン歌会。題は春のイメージで白としました。
■兼題「白」
生むように生まれるように真昼間の沸騰水を沈む白玉 笹井宏之
はなびらの白いくつかを留めたる傘たたまれて夜に傾く 十谷あとり
いとけなく母猫を追ふ白猫のあうらあかるし名は桜丸
ぴったりを見つけられずに何年が過ぎたのだろう白い綿シャツ 有田里絵
責任を逃れるように丸まって シュレッダーは白の虫かご 棉くみこ
一首目、「生むように生まれるように」の比喩のうまさに評が集まる。晴れた午後の情景が浮かぶよう。二首目、「夜に傾く」傘が鮮やか。しばらく留まって鑑賞していたい歌。三首目、ふだん意識しない猫の「あうら」に焦点を当てた点がユニーク。桜丸の響きも明るく、ドラマ性がある。四首目、実感がこもっているとして2票。「何年が」が大げさとの意見も。五首目、刻まれた紙片が落ちていく様子がわかる。ただ上句の意味が曖昧。
題詠は全部で十三首あつまった。白玉、シャツ、シロナガスクジラ…とさまざまな白に混じり、はなびらの持つほのあかるい白、メールや本の余白といった白も印象に残った。
■自由詠
一日の始めと終わりつなぐよに右から左はみがきをする 有田里絵
特大のファールボールをあてられてフェンスがわれに返る数秒 笹井宏之
うしろ手に扉しめれば過ぎてきた時がさらさら砂山となる やや
ムンフバト・ダバジャルガルが理事会の満場一致で大関となる 雨宮司
一首目、「つなぐよに」は「つなぐように」と直したほうがよいという指摘が出たものの、見立てのよさで高得点歌に。二首目、振動するフェンスを「われに返る」と表現したことで、より真に迫る歌に。三首目、読み手それぞれが違った場面を想像しながらも、共鳴できる歌となった。四首目、事実そのままという意見と、そのままだけどなんとも言えないおかしみがある、との意見に分かれた。
この歌は棉さんでしょうか……と最近よく当てられるので、今度は意外性のある歌を提出するぞと思ったりしています。
(棉くみこ記)